午前中は某女子校で「情報科」の授業見学。今年の4月から全国の高校で情報科目が実施されているが、この学校は先進的な取り組みをみせている学校である。
情報科については、今までも何度か調査・研究をしてきたが、全国の学校で戸惑いの声が挙がっている。特に、授業を担当する先生方はどうしていいものかわからず困っていることが多い。
地方の場合は、家庭でのパソコンやインターネットの普及率がさほど高くないため、WordやExcelの使い方を教えたり、電子メールを活用したコミュニケーションについて話を展開していけば、それだけで授業になってしまう(これでよいのかという議論は別だが)。しかし、都市部の場合は、パソコンの使い方は教員よりも生徒の方がよく知っているケースが多いし、生徒も今さらインターネットについて説明してほしいなんて思っていない。
文部科学省も事情をよく理解しているのか、学習指導要領では「情報」という科目がそもそも何をすべき科目か明確な答えを見せていない。よくいえば自由度の高い科目ということになるが、現場から見ると「どうしてよいかわからない科目」になってしまっている。
最近、この問題について考えていたこともあって、今回の授業見学はとても興味深かった。授業テーマは「企業研究」だったけど、そのねらいは「プレゼンテーション」だったり「ブレインストーミング」だったりと、物事(=情報)の見せ方や考え方について親しむという観点だった。たとえば「携帯電話を今まで以上に売れるモノにするためにはどうすればよいか?」を考えさせたりするのである。「情報」は(指導要領によると)コンピュータを扱うことだけではなく、情報社会のおける必要な能力を伸ばすことが目的とされている。したがって、「モノの見せ方」や「モノゴトの考え方」はこの科目の本質とするテーマだと思う。そういう観点で、情報教育のキモを見せてもらったような気がする。
ただ、今回の内容は素晴らしかったけど、他の学校ではこううまくいかないだろうなぁ、とも思ってしまう。というのは、今回の先生は、大手コンサルティング会社でを経て、学校以外の世界についてよく知っている方だったから、「情報」を大きな視野でとらえることができていたと思う。しかし、世の中の多くの先生は、学校教育業界のことしか知らないことが多し、さらに、学校に籠もっていることが多い。実際、今回の見学者(30名くらい)も教材販売会社や教育コンサルティング会社の方ばかりで、学校の先生は2名しか参加されていなかった。
そういう意味で、自由度が高い科目なだけに先生の力量で大きく成果が変わってしまう現状はちょっと問題かな。本当は、先生同士での情報交換をしたり、企業の方との交流を深めたりして見識を広げていくことが望ましいわけだけど、もう少し上流からこういった「場」を提供してあげないとなかなか動きででてこないような気がする(この手の話はキッカケが一番難しいので)。
まだ具体的にどうしていいものか(何ができるのか)よく見えていない点も多いけど、もう少し掘り下げてみたいテーマだ。